上りのストラテジー

・大局的に考える

 最初に立てたプランに基づいて大局的にレグをひく。カバーしつつ前の艇に追いつけるように考える。カバーは集団を見て考える事。

 スタートに失敗した時はフレッシュウィンドを取れる位置で走る。

 スタートに成功した時で先頭集団に居る時、悪い風の中を走っていても向かっている方向が確実に良いとわかっているならダブルタックをうったりしないでしばらく我慢して走る。ただしその場合はスキッパーにきちんと説明する事。きちんと説明しないと、スキッパーはまず間違いなくキレる。

 

・タックについて

 全体がバラけるまでは、細かいシフトに踊らされてタックを打ちすぎないように注意する。タックは基本的にロス。細かいシフトでタックして小さくゲインするのではなく、ある程度大きく出して大きなゲインのためにタックするようにしないと、タックのロスに見合うゲインを得られない。

 思いつきでタックをしない。常に次の状況を考えて予定の行動の中にある戦略の一つとしてのタックになるように心がける。「とりあえずタック」は絶対しない。またそうしない為にも常に先を読むようにする。タックはひと上り当り4~6回を目指す。

 また、後手に回らないように心がける。相手の行動を見てから行動をするのでは遅い(場合にもよるが)。自分が先手に回るよう考えをめぐらす。

 

・ロングについて

 最初は、よほど海面にムラがない限りロングな方を潰すようにする。ロングを潰すよりも有利な方向へ行くほうが良いと思うときは、行きすぎないように注意する。集団が行きたい方向にこない場合は、その集団よりも自分の行きたい方向(有利と思われる方向)に自艇を位置すればそれで十分。決して一艇だけで反対方向に行ったりする博打は打たない。

 

・振れについて

 振れで得たゲインは確実にモノにする。前に出られる時に前に出て相手をホープレスポジションにいれて(ルーズカバーして)コントロールする。タイトに打つとカバーから逃げられてしまい、後で抜かれてしまう可能性が出てしまうのでタイトには打たない。

 振れを期待して待たない。リフトだろうがヘッダーだろうが、大事なのは振れたときの集団との位置関係だ。集団よりも振れでゲイン出来る位置にいれば良いのだから、ヘッダーが入るまで端のほうへ伸ばす必要はまったくない。

 

・全体との位置関係

 反対側にのばす集団の伸び、海面の状況は常にチェックする。自分のいる位置、全体の位置関係、マークの配置を、俯瞰図で見るように大きく考える癖をつける。全体でチェックしなければならないのは、両サイドのトップ艇と両側の一番端まで出している船、そしてマークだ。

 

・中盤のセーリング勝負

 中盤のセーリング勝負の時は、前方よりも逆タック側のブローに注意して走る。前方のブローは何もしなくても入る。差がつくのは他艇と違う行動をとった場合だ。逆タック側のブローを見てより強いブロー・より良いシフトがないか探し、それを取りに行くだけのメリットがあるかどうか考える。また、ある程度エンドまで出した時、自分のセーリングに自信があるのならば、下先行になるようにインへ返す。下先行である限りなかなかタイトカバーには入らないで済む。

 

・ミートについて

 自分の行きたい水面を目指している時に相手艇とミートした時は思い切って下すべき。前を通してもらえるのならばそうするのも良いが、通してもらえないときは下してでも向かうほうが良い。ここで後ろを通るのは決して負けを認めるのではなく、次に勝つ為の布石だと考える。ただ、思い切って下して後ろを通る勇気を持つためにはスタート前からのプランニングと次の展開の予想が不可欠である。それが当たるかどうかはともかく、余裕を持った信念のある行動が出来るようにしなければならない。

 ミートする艇について、その艇がどこから来たのかわからないのでは話にならない。前もって見ておいて対処をあらかじめ考えておく事。見つけてから対処を考えたのでは遅い。常日頃から離れている船のポテンシャルを見分ける訓練をしておく事。遠くの同ポテの船がわかるようになればどれとミートするかがわかるし、どれと勝負するべきなのかもわかる。

 

・クルーとスキッパーのコンビネーション

 クルーはレグを立てる時になぜそちらへ行くのか、なぜタックをするのか、今何を考えどうするつもりなのか、という事を常にスキッパーと相談する。それに対するメリット・デメリットもわかれば報告する。先の考えうる展開について相談する事でスキッパーはその状況がわかり安心する。自分の細かい報告でスキッパーを黙らせてセーリングに集中させる。

 

・微風時

 微風時は、反対水面に大きく風が回りそうな時や反対海面に明らかにブローが入りそうな時はベアしてアビームになってでもその海面に近寄らなければならない事もある。自分のコースを維持して短い距離を走るべきなのか、遠回りしてでもブローを取りに行って艇速を出すほうが良いのか考える。

 

・マークへのアプローチ

 上りの2/3を過ぎたらアプローチの方法を考える。この時もタックが多くなりがちなので、マークの位置と集団のポテンシャルを良く見極め先を予測する事が重要。ポートアプローチかスターボアプローチかを決める為にも、15艇身ダイヤモンドの風下側の頂点を通るようにする。

 基本的にはポートアプローチをする。よっぽど混んでいる時で無ければ絶対にもぐりこむ隙間は存在する。ポートアプローチをした結果、強引に下して後ろを通った場合や、上~サイドの船による影響に入って走った場合でも、絶対にスターボアプローチよりも早い。ただし、上~サイドがルーズの時は下りの船とのミートが多いので注意しなければならない(下ってくる船のほとんどはスターボである)。クルーはあらかじめどの隙間にもぐりこむのかスキッパーに言っておくこと。上手いスキッパーならばそれに合わせることなど造作も無い。

 また、スキッパーはこの時にマークを意識しすぎて上し過ぎになり止まっていることが多い。このような混乱時こそセーリングが重要なので落ち着いて走るようにしなければならない。

 ちなみに、1上ではなかなかそのような場合は無いが、即ジャイブの場合について述べておく。即ジャイブをする時は、サイドマーク回航と同様に回航時にマークとの間を空けないようにしたい。その為レイラインを少しオーバー気味にとって(一艇身もあれば十分)ジャイブする。また、即ジャイブの時はレイラインを上って来る船とのミートがあるので即ジャイブしても大丈夫なのかどうか、あらかじめ見ておく事。

 

 

    滋賀医さんより引用

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コメント: 2
  • #1

    najlepszy sex telefon (金曜日, 17 11月 2017 23:25)

    Korn

  • #2

    南崎都 (金曜日, 02 7月 2021 11:32)

    とても勉強になりました。舵を握りやり始めると周りがよく見える様にもなるし。皆んなのペース配分で舵を切る=ミスをなくせる。